中性脂肪とHDL・LDLコレステロールの密接な関係

中性脂肪は、直接に動脈硬化を促進させるわけではありません。中性脂肪値が高くなると、善玉コレステロールであるHDLが減少することで、悪玉コレステロールであるLDLが増えるために動脈硬化が進んでしまうわけなのです。中性脂肪値が高くなることで消化酵素リパーゼの活性が弱まって、血中のカイロミクロンやVLDL(超低比重リポたんぱく)の分解することができなくなり、HDLが作られにくくなります。HDLが少なくなりLDLが高くなる影響で中性脂肪の数値が高い方は動脈硬化のリスクが高くなってしまいます。そして動脈硬化には自覚症状がほとんどありません。中性脂肪の数値が高い人は普段の生活で摂取エネルギー量が消費エネルギーより多くなっていて、動物性脂肪の多い食事をたべていることが多く、さらに運動不足、ストレスを多くかかえているといった生活習慣の人に多くみられます。

中性脂肪とHDL・LDLは作用しあって増減する

中性脂肪、HDL(善玉コレステロール)、LDL(悪玉コレステロール)はそれぞれが密接に作用し合って、お互いに様子を見ながら増減して、私たちの体の中に存在しています。HDL・LDLには以下のような関係性があります。

  • HDLを増やすことでLDLを減らすことができます。
  • 中性脂肪を低くすればHDLは増加します。
  • 中性脂肪が増えるとHDLが減り、LDLが増加します。

中性脂肪値が高くなると以下流れで動脈硬化がすすみます。

  1. 消化酵素リパーゼの活性が弱まり、血中のカイロミクロンやVLDL(超低比重リポたんぱく)の分解が出来ず、HDLが作られにくくなる。
  2. 血中に材料はあるが、中身のコレステロールをカイロミクロンやVLDLに取られてしまうのでHDLが作られない。
  3. HDLが減るとLDLが悪玉化して動脈硬化を引き起こす

ですので、正確に言えば中性脂肪は、直接に動脈硬化を促進させるわけではありません。
中性脂肪値の数値が高くなると、HDLが減り、LDLが増えるために動脈硬化が進んでしまうことになります。

HDLコレステロール(善玉コレステロール)

HDLコレステロールは善玉コレステロールと呼ばれています。血液中の余分なコレステロールを肝臓に戻す働きを持っていて、動脈硬化の原因になる血管壁についている脂肪を取り除く働きがあります。HDLコレステロールが少なくなると、血管壁に余分なコレステロールが沈着することになり、動脈硬化を促進して、動脈硬化から糖尿病、脳梗塞、虚血性心疾患、肝硬変、腎不全などを引き起こす原因となってしまいます。

LDLコレステロール(悪玉コレステロール)

LDLコレステロールは悪玉コレステロールと呼ばれています。悪玉コレステロールは、肝臓で作られたコレステロールを体内の各組織に運ぶ役割をもっています。悪玉コレステロールは正常な量むしろ必要不可欠なもので増えすぎることが問題となります。悪玉コレステロールが増えすぎると善玉コレステロールが余分なコレステロールを回収できなくなり、血管に付着し動脈硬化がすすんでしまいます。