健康診断で血液検査をしたことのある人なら、肝機能の目安となるGOTとGPTという数値を見たことがあると思います。肝臓に中性脂肪がたまると肝臓の肥満症と言われる脂肪肝になります。脂肪肝の場合はGOTとGPTの数値が軽度の異常であることが多いのです。
中性脂肪と肝臓の深い関係
肝臓に中性脂肪がたまると肝臓の肥満症と言われる脂肪肝になります。血液検査をしたことのある人なら一度や二度は、肝機能の目安となるGOTとGPTという項目と数値を確認したことがあるかと思います。GOTとGPTどちらも肝臓の中にある酵素で、肝臓が化学工場としての働くときに、触媒として大活躍する酵素です。肝臓は脳や心臓と違って再生力のある臓器で、常に新陳代謝を活発に行っているので、通常でも少量のGOTやGPTは血中に流れ込んでいます。
GOT・GPTの正常値
正常値はGOTが8~40IU/リットル、GPTは5~35IU/リットルの範囲内になります。
脂肪肝の場合は、GOTとGPTが軽度の異常であることが多く、GPT値がGOT値より数値は若干高くなります。ウイルス性肝炎の場合はGOT値やGPT値の変動幅が大きくすぐ見分けをつけることができます。
脂肪肝を診断するときの検査と検査値
検査項目
GOT (AST) |
グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ (アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ) |
---|---|
GPT (ALT) |
グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ (アラニンアミノトランスフェラーゼ) |
ALP | アルカリホスファターゼ |
γ-GTP | ガンマグルタミールトランスペプチターゼ |
検査 | 正常値 | 脂肪肝の場合 |
---|---|---|
GOT(AST) | 8~40IU/l | 軽度~中等度上昇 過栄養性:GPT>GOT |
GPT(ALT) | 5~35IU/l | アルコール性:GOT>GPT |
ALP | 60~220IU/l | 軽度上昇 |
γ-GTP | 50IU/l以下 | アルコール性では高値 |
コリンエステラーゼ(CHE) | 186~490IU/l | 過栄養性:顕著に上昇もしくは正常上限近くの値 |
総コレステロール | 120~220mg/dl | 高値 |
中性脂肪 | 50~150mg/dl | 高値 |
脂肪肝の診断は血液検査・尿検査を行って明らかに異常や疑わしい場合には、肝臓の超音波(エコー)やCT(コンピューター断層撮影)による検査を行います。エコーによる脂肪肝の検査では、モニター画面にギラギラと白く輝く特徴的な肝臓が映りますので、カンタンに判定がつきます。また、CTでは、脂肪肝の人の肝臓は全体に腫大して、正常と比べると黒っぽくなるのが特徴です。さらには肝臓に針を刺して肝臓の細胞を採取し、顕微鏡検査をする肝生検を行うこともあります。
GOT・GPT・γGTPは肝臓の状態を教えてくれる大切な検査数値
GOTについて
GOTとは、アミノ酸の変換酵素で、心臓、肝臓などに多く含まれています。そして心臓や肝臓に障害があると、GOTが血中に出てきて、GOTの検査値が異常高値になるのです。あとGOTは飲酒や運動すつと直後に10%くらいは上昇する数値です。
GPTについて
GPTは、同じくアミノ酸の変換酵素のことなのですが、特に肝臓に多く含まれている酵素でので、肝臓機能障害の早期発見に役立ちます。GPTの値が高い時は、重篤な肝障害が疑われる可能性もあります。新陳代謝により死んでしまった細胞中にあったGOT、GPTが血液中に流れ出すため、血中には常に一定量のGOT、GPTが含まれていますが、肝臓や心臓の細胞が病気で壊されると大量のGOT、GPTが流れ出て、検査数値が大きくなるのです。但し、過激な運動をしてもGOTは多くなります。GOT、GPTの単位はかつてカルメン単位(KA)が主流でしたが、現在は現在は国際単位(IU)が一般的になっています。
γ-GTPについて
γ-GTPとは、主に肝臓や腎臓、膵臓などに含まれる酵素です。GOTやGPTとおなじくこれらの臓器に障害が表われると、γ-GTPがと血液中に流れでてきます。特にアルコール性肝障害に対し敏感な反応をするのでアルコール性の肝障害の予防や早期発見にとても有効な検査値となります。一般的には女性の方がγ-GTPの検査値は低い数値を示します。また、酒を飲むことが習慣化している人は、しばらく酒を飲まなくても高い数値となります。アルコールを大量に飲むと肝臓の働きが低下して、中性脂肪が肝臓にたまるため、脂肪肝の原因になります。
ALPについて
ALPとは、リン酸化合物を分解する働きをする酵素になります。多くの臓器、器管に含まれていて、臓器に異常があれば血液中に漏れ出てALPの数値が上昇します。ただし、体内のあちらこちらに存在しているので、ALP値だけで異常の種類を特定することはできません。GOT、GPTなど他の検査も一緒におこなうことで、併せて判断されます。