中性脂肪で特定保健指導の対象になる基準|空腹時150・随時175

特定保健指導の対象になる基準

中性脂肪は空腹時150mg/dl以上、空腹時に測れなかった場合は随時175mg/dl以上で、特定保健指導の「脂質」のリスク1つに数えられます。対象になるかは中性脂肪だけでは決まらず、腹囲・BMIとほかのリスクの数で、積極的支援か動機付け支援かが決まる仕組みです。

この記事でわかること

  • 中性脂肪がいくつで特定保健指導のリスクに数えられるか
  • 空腹時150と随時175の2つの基準がある理由
  • 腹囲・BMI・血糖・血圧・喫煙と合わせた判定の手順
  • 積極的支援と動機付け支援の分かれ方と計算例
  • 案内が届いたあとの流れと、第4期で変わった終了の条件

公的情報源(2026年10月19日確認): 厚生労働省 保険局「第4期特定健診・特定保健指導の見直しについて」(参照)/武蔵野市「特定保健指導の対象者(階層化)」(参照)

健診の結果票で中性脂肪に印が付き、しばらくして「特定保健指導のご案内」が届いた方もいると思います。

どの数値で対象になり、何をすることになるのか。厚生労働省の資料と、それに沿った自治体の判定表をもとに、順番に整理していきます。

目次

中性脂肪で特定保健指導のリスクになる基準

特定保健指導の判定では、中性脂肪は空腹時150mg/dl以上でリスク1つに数えられます。空腹時の採血ができなかった場合は、随時175mg/dl以上が基準です。

特定保健指導の「脂質」のリスク(第4期・2024年度から)

項目リスクに数える値補足
中性脂肪(空腹時)150mg/dl以上原則はこちらで判定
中性脂肪(随時)175mg/dl以上やむを得ず空腹時に測れなかった場合
HDLコレステロール40mg/dl未満中性脂肪が基準未満でもリスク1つになる

脂質のリスクは「中性脂肪が基準以上」または「HDLコレステロールが40mg/dl未満」のどちらかで1つと数えます。両方に当てはまっても、脂質のリスクは1つのままです(厚生労働省 保険局「第4期特定健診・特定保健指導の見直しについて」・令和5年10月23日)。

HDLが40mg/dl未満なら、中性脂肪が正常でも脂質のリスクに入る点は見落とされがちです。結果票では、中性脂肪とHDLを並べて見てください。

中性脂肪とコレステロールの項目をまとめて読む方法は、中性脂肪とコレステロールの違いで整理しています。

第4期で随時175mg/dlが加わった理由

2023年度までの第3期は、中性脂肪150mg/dl以上の1本だけでした。2024年度からの第4期で、随時採血のときの基準175mg/dlが加わっています。

厚生労働省の資料では、食事の影響が大きい中性脂肪に、随時採血時の基準値を追加すると説明されています。第3期から随時の採血が認められてきた経緯と、学会のガイドラインの変更を受けた見直しです。

食べてから時間がたっていないと、中性脂肪は高めに出ます。食後の値の動き方は、食後に中性脂肪が高いのはなぜかで解説しました。

特定保健指導は中性脂肪だけでは決まらない

特定保健指導の対象になるかは、中性脂肪の値だけでは決まりません。腹囲かBMIで入口が決まり、そのうえで血糖・脂質・血圧のリスクの数を数えます。

特定保健指導の判定は4段で決まる

  • 中性脂肪はこのうち「脂質」のリスクの1つ
  • 1腹囲かBMIで入口を見る腹囲 男性85cm以上・女性90cm以上、または腹囲は基準未満でもBMI25以上
  • 2追加リスクを数える血糖・脂質・血圧のうち、いくつ当てはまるか
  • 3喫煙歴を足すかを見るほかのリスクが1つ以上あるときだけ数える
  • 4年齢で調整する65歳から74歳は、積極的支援に当たっても動機付け支援になる

入口の腹囲・BMIが基準未満なら、中性脂肪が高くても特定保健指導の対象にはならない。

図:中性脂肪は判定の材料の1つ。入口は腹囲とBMIで決まる。

追加リスクの基準(血糖・脂質・血圧・喫煙)

追加リスクは4つあります。武蔵野市が示している第4期の判定表の基準は、次のとおりです(武蔵野市「特定保健指導の対象者(階層化)」・2024年4月18日)。

特定保健指導の追加リスク(第4期)

リスク当てはまる条件
血糖空腹時血糖100mg/dl以上(測っていなければHbA1c 5.6%以上)
脂質空腹時中性脂肪150mg/dl以上(やむを得ない場合は随時175mg/dl以上)または HDLコレステロール40mg/dl未満
血圧収縮期130mmHg以上 または 拡張期85mmHg以上
喫煙歴血糖・脂質・血圧のリスクが1つ以上あるときだけ数える

喫煙歴は、それだけではリスクに数えません。血糖・脂質・血圧のどれかに当てはまったときに、上乗せされる扱いです。

積極的支援と動機付け支援の分かれ方

入口とリスクの数で、支援の種類が決まる仕組みです。腹囲が基準以上の人と、腹囲は基準未満でBMIが25以上の人とで、必要なリスクの数が違います。

支援の種類の判定(40〜64歳)

入口追加リスク(血糖・脂質・血圧)喫煙歴支援の種類
腹囲 男性85cm以上・女性90cm以上2つ以上問わない積極的支援
同上1つあり積極的支援
同上1つなし動機付け支援
腹囲は基準未満でBMI25以上3つ問わない積極的支援
同上2つあり積極的支援
同上2つなし動機付け支援
同上1つ問わない動機付け支援

65歳から74歳の人は、積極的支援に当てはまっても動機付け支援になります。腹囲もBMIも基準未満なら、中性脂肪が高くても特定保健指導の対象にはなりません。

計算例:自分がどちらの支援になるかを当てはめる

判定は、結果票の数字を上の表に当てはめれば自分で出せます。よくある組み合わせで試してみます。

中性脂肪が高い人の判定例

例腹囲・BMI中性脂肪ほかの数値喫煙判定
A:48歳男性腹囲88cm空腹時162血糖・血圧は基準内なし動機付け支援
B:48歳男性腹囲88cm空腹時162血糖・血圧は基準内あり積極的支援
C:55歳女性腹囲84cm・BMI26随時180血圧132/80なし動機付け支援
D:52歳男性腹囲83cm・BMI23空腹時210血圧135/88あり対象外
E:68歳男性腹囲92cm空腹時170血糖HbA1c 5.8%なし動機付け支援

Aは、腹囲の入口を満たし、リスクが脂質の1つだけです。同じ数値でも、喫煙歴があるBは積極的支援に上がります。

Cは腹囲が基準未満なので、BMIの入口で数えます。脂質(随時175以上)と血圧の2つで、喫煙なしなので動機付け支援です。

Dは中性脂肪が200を超えていても、腹囲もBMIも基準未満のため特定保健指導の対象外です。対象外でも、中性脂肪の値そのものは受診の目安で別に判断します。

Eは2つのリスクがあり、年齢が64歳以下なら積極的支援でした。65歳以上なので動機付け支援になります。

保健指導の対象かどうかと、受診が要るかは別の話

特定保健指導は、生活習慣を見直すための支援です。病院での治療が要るかどうかは、別の物差しで判断するものです。

特定健診では、保健指導の判定に使う値とは別に、医療機関への受診を勧める「受診勧奨判定値」が決められています。中性脂肪がかなり高い場合は、保健指導の案内を待たずに受診を考えましょう。

  • 健診の結果票に「要医療」「要精密検査」と書かれている
  • 中性脂肪が数百mg/dlの単位まで上がっている
  • 前回の健診より大きく上がっている

上のような場合は、まず結果票の判定欄と受診の案内を確かめてください。200以上の値の読み方と受診の目安は中性脂肪200以上は危険か、高い値が出たときに先に確かめることは健診で中性脂肪が高いと言われたらにまとめました。

案内が届いたら:特定保健指導の流れと第4期の変更点

特定保健指導は、初回の面接で行動目標を決め、3か月以上たってから成果を評価する流れです。第4期では、成果が出た人を早く終了させる仕組みが入りました。

  1. 案内が届く:加入している健康保険(保険者)から、対象者に案内が届く
  2. 初回面接:保健師や管理栄養士などと、食事・運動・飲酒などの行動目標を決める
  3. 継続的な支援:積極的支援では、面接・電話・メールなどで3か月以上のやりとりがある
  4. 実績評価:初回面接から3か月以上たった時点で、腹囲・体重や生活習慣の変化を確かめる

厚生労働省の資料によると、第4期では遠隔で行う保健指導も、評価の水準や時間を対面と同じに扱います。健診当日や健診後1週間以内に初回面接を受けると、早い介入として評価される仕組みもできました。

腹囲2cm・体重2kg減で終了になる「アウトカム評価」

第4期から、積極的支援に「腹囲2cm・体重2kg減」という主な目標が入りました。達成すれば、支援のやりとりの量を問わずに特定保健指導の終了とする扱いです。

正確には、その年の健診時の体重に0.024を掛けた値以上の体重と、同じ数字のcm以上の腹囲が減っていれば達成です。体重80kgの人なら、約1.9kgと約1.9cmが目安になります。

積極的支援の終了の考え方(第4期)

成果扱い
腹囲2cm・体重2kg減を達成支援の量を問わず終了(180ポイント)
腹囲1cm・体重1kg減成果として評価(20ポイント)し、支援と合わせて終了を判断
食習慣・運動習慣・休養習慣の改善各20ポイント
禁煙30ポイント

腹囲・体重の目標を達成できなくても、行動の変化と支援の合計が180ポイント以上になれば終了です(厚生労働省 保険局「第4期特定健診・特定保健指導の見直しについて」)。

積極的支援は「成果」でも終われる

腹囲2cm・体重2kg減を達成
評価
初回面接から3か月以上たった実績評価で確かめる
終了
支援のやりとりの量を問わずに終了
目標に届かなかった
評価
腹囲1cm・体重1kg減や、食事・運動・禁煙などの変化を点数にする
終了
支援と合わせて180ポイント以上で終了

図:第4期は「どれだけ面談したか」より「何が変わったか」で終わり方が決まる。

中性脂肪の値を動かすために、案内の前からできること

腹囲と体重が減ると、中性脂肪も下がりやすい傾向です。保健指導で決める行動目標も、食事・飲酒・運動の見直しが中心になります。

原因が食事なのか、お酒なのか、体質なのかで、手の付け方も違ってくるでしょう。まずは中性脂肪が高くなる原因一覧で、自分の当てはまりを確かめておくと、初回面接で話が早く進みます。

よくある質問

Q1:中性脂肪が150mg/dlを超えたら、特定保健指導の対象になりますか?

それだけでは対象になりません。腹囲(男性85cm以上・女性90cm以上)か、BMI25以上の入口を満たしていることが前提です。

入口を満たしたうえで、血糖・脂質・血圧のリスクの数と喫煙歴で、積極的支援か動機付け支援かが決まります。

Q2:随時の中性脂肪が170mg/dlでした。リスクに数えられますか?

随時の基準は175mg/dl以上なので、170mg/dlなら脂質のリスクには数えられません。

ただし、HDLコレステロールが40mg/dl未満なら、その時点で脂質のリスク1つになります。結果票ではHDLもあわせて見てください。

Q3:中性脂肪は正常で、HDLコレステロールだけが低い場合はどうなりますか?

HDLコレステロールが40mg/dl未満なら、中性脂肪が正常でも脂質のリスク1つに数えます。

腹囲かBMIの入口を満たしていれば、ほかのリスクと合わせて支援の種類が決まります。

Q4:65歳以上でも特定保健指導の案内は来ますか?

特定保健指導は40歳から74歳が対象で、65歳から74歳の人にも案内が届くことがあります。

ただし65歳から74歳の人は、積極的支援の条件に当てはまっても、動機付け支援として扱われます。

Q5:腹囲2cm・体重2kg減は、何kgの人でも同じですか?

正確には、健診時の体重に0.024を掛けた値以上の体重と、同じ数字のcm以上の腹囲を減らすことが目標です。

体重80kgなら約1.9kg・約1.9cm、体重90kgなら約2.2kg・約2.2cmが目安になります。

まとめ

  • 中性脂肪は空腹時150mg/dl以上、随時175mg/dl以上で脂質のリスク1つ
  • HDLコレステロールが40mg/dl未満なら、中性脂肪が正常でも脂質のリスク
  • 入口は腹囲(男性85cm・女性90cm)かBMI25。入口を満たさなければ対象外
  • リスクの数と喫煙歴で、積極的支援か動機付け支援に分かれる
  • 65〜74歳は、積極的支援の条件でも動機付け支援になる
  • 第4期は腹囲2cm・体重2kg減を達成すると積極的支援を終了できる

特定保健指導の案内は、数値が病気の段階に入る前に生活を見直すきっかけです。結果票の腹囲・BMI・中性脂肪・HDL・血糖・血圧を表に当てはめて、自分の位置を先に確かめておきましょう。

※本記事は厚生労働省の公表資料と自治体の判定表をもとにした一般的な整理で、医療行為・診断を目的としたものではありません。特定保健指導の実施方法は加入している健康保険(保険者)によって異なる場合があります。体調や治療に関わる判断は自己判断せず、医師など専門家にご相談のうえ、保険者や公的機関の最新情報もあわせてご確認ください。

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この記事を書いた人

Sasakiです。地域の調剤薬局で、処方箋の受付や会計、窓口での案内といった事務の仕事を長くしてきました。そこで毎日のように向き合ったのが、中性脂肪や血圧、血糖値の数値に悩む方々でした。

実は私自身も、健診で脂質の数値を指摘された一人です。そこから中性脂肪や脂質異常症について独学で調べ、食事や運動を自分の体で試し続けてきました。

このサイトでは、薬局の窓口で見てきたことと、自分で調べて実践してきたことを合わせて、中性脂肪との付き合い方を整理しています。数値や治療の判断は自己流にせず、かかりつけの医師や薬剤師に相談してください。

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